どうして2月だけ28日しかないのか、気になったので調べてみた

最近、子供が知りたい盛りで、事あるたびに「1年は何日あるの?」「1年は何時間あるの?(知ってどうする)」みたいな質問をしてくるんですが、質問に答えながら、ふと「なんで2月だけ28日(閏年は29日)なんだろう?」って思ったので調べてみることにしました。

31日間あるどれか2つの月から1日ずつ2月に分けてあげれば2月も30日(閏年31日)になって、どの月も30または31日間ってバランスよくなるはずだし。なんで2月だけ思いっきり少なくされてるんだろうなあと。

28日しかないのに31日の月とお給料一緒なのは得する気がするけど、月ごとの支払いも一緒じゃないですか。得するんだか損するんだかはよくわかりませんが、とにかく何でこんなことになっているか知らないまま大人になってしまったので、そのうち子供に聞かれそうだし、ちゃんと調べておこうと思いました。

といっても、本当に細かいところまで調べるつもりもありませんし、きっと理解が足らないところも出てきてしまうと思いますし、ツッコミどころ多いかとは思いますが、よろしくです。

古代エジプト暦

古代エジプト(B.C.2900頃から)では、おおいぬ座のシリウスの動きから1年が365日であることを突き止め、30日x12ヶ月と、最後の12の月にエパゴメネという祭日5日を加えて運用していたそうです。それだけだと4年に一度季節とズレることがわかったため、その年にはさらに閏日を設けて調整するようになりました。とりあえず今とそれほど違わない感じですね。すごいです、古代エジプト人。

ちなみに、1月は今の8月29日から始まっていたそうです。9月頃はナイル川が増水する時期にあたり、農業のサイクルと密接に対応していたようです。

古代エジプト暦 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 エパゴメネ
(現在) 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
平年(365日) 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 5日
閏年(366日) 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 30日 6日

1ヶ月が必ず30日っていうのも潔い、というか、むしろ合理的な感じではありますね。

ロムルス暦(古代ローマ暦)

一方、紀元前8世紀頃から古代ローマで使われていた暦は1年が10ヶ月304日しかなく、日付のない日が60日程度あったそうです。日付がないなんて不便極まりない感じですが、農作業のない季節はあまり必要がなかったみたいです。毎年、春になってきたなーって思ったら王様が「ハッピーニューイヤー!」って新年を宣言してたみたいですね。英語じゃないでしょうけど(笑) 建国した王様の名前を取ってロムルス暦と呼ばれます。

ロムルス暦 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 その他
(現在) 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1〜2月
平年(304日) 31日 30日 31日 30日 31日 30日 30日 31日 30日 30日 約61日

31日ある月を「大の月」、 30日の月を「小の月」と呼ぶそうです。

ちなみに、1月は今の3月頃。実際には数字ではなく月の名称を使っていたようです。1月から順にMartius(マルティウス)、Aprīlis(アプリーリス)、Māius(マーイウス)、Jūnius(ユーニウス)、Quīntīlis(クィーンティーリス)、Sextīlis(セクスティーリス)、September(セプテンベル)、Octōber(オクトーベル)、November(ノウェンベル)、December(デケンベル)。現在の月の英単語ほとんどそのものなものもあったりしますね。

現在12月はDecemberですが、10進数とかdecimal(デシマル)とか言いますし、ラテン語では10のことをdecem(デケム)というそうで、「decナントカ」っていうとたいてい10を表すのになんでDecemberは12なんだろうと思っていたんですが、元々December(デケンベル)で10番目の月を表してたんですね。何でずれてしまったかは次項で。

ヌマ暦(古代ローマ暦)

さすがに日付のない期間があったりするのは不便だったのか、紀元前713年にヌマ・ポンピウス王が改暦。11番目、12番目の月としてJānuārius(ヤーヌアーリウス 29日)とFebruārius(フェブルアーリウス 28日)がDecemberの後に付け加えられます。今のJanuary(ジャニュアリー)とFebruary(フェブラリー)ですね。後々、ヤーヌアーリウス始まりということになったので、10月を表していたはずのDecemberが12月というように2ヶ月ズレることになります。

奇数が縁起がよいということで、それまで30日だった月を29日に減らし、1年355日で運用されていました。それだけでは実際の太陽の動きとは大きくずれてしまいますので2年に1度、フェブルアーリウスを23日にして、Mercedinus(メルケディヌス)という27日または28日の閏月を設けました。

ヌマ暦 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 閏月
(現在) 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
平年(355日) 31日 29日 31日 29日 31日 29日 29日 31日 29日 29日 29日 28日 --
閏年(377〜8日) 31日 29日 31日 29日 31日 29日 29日 31日 29日 29日 29日 23日 27〜8日

日付のない60日間のあるアバウトなロムルス暦と比べれば、ヌマ暦はかなりキッチリと運用されるようになったんでしょうか。2年間で732日、平均するとだいたい366日になりますので現代のカレンダーとの誤差も一応小さくなってきました。でも、古代エジプトの方がヌマ暦よりも2000年以上前に確立していたのに正確な感じです。やっぱりすごいです、古代エジプト人!

その後、ヌマ暦を650年間程度使い続ける古代ローマでしたが、1年おきに実施される閏月とか混乱の元ですし、そもそも1年あたり366日では本来の太陽の動きと毎年1日ずつズレていく計算になります。何百年も使い続けていればとんでもない誤差になりますよね。どうやって調整していたのか興味があります。なお、ローマでは紀元前153年に、年始をそれまでの3月1日から1月1日に変更しています。

ユリウス暦

紀元前46年にローマのユリウス・カエサルがエジプトを征服した際に、エジプト暦を改良した暦を導入します。ユリウス暦はそれまでのローマ暦とエジプト暦のハイブリッドな感じですね。

基本的に奇数月を31日、偶数月を30日とし、1年365日。4で割り切れる年の2月の終わりに閏日を設けるところなど、現在の暦とずいぶん似てきました。現在とは8月以降偶数月が31日、奇数月は30日になっているとことが違いますね。

ユリウス暦 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平年(365日) 31日 29日 31日 30日 31日 30日 31日 30日 31日 30日 31日 30日
閏年(366日) 31日 30日 31日 30日 31日 30日 31日 30日 31日 30日 31日 30日

ちなみにユリウスの誕生月のQuīntīlis(クィーンティーリス。現在の7月)をJulius(ユリウス)と呼ぶようになりました。今のJuly(ジュライ)ですね。

どこか31日の月の1日を2月に持ってくれば最低でも30日ということもできたのでしょうが、年始が1月1日になったとはいえ、3月から農業が始まることなども関係して、2月が年度末みたいな扱いを受けていたのかもしれませんね。

ユリウス暦(改)

紀元前8年、ローマ皇帝アウグストゥスも自分の誕生月に名前を付けたかったらしく、改暦しやがります。

ユリウス暦(改) 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平年(365日) 31日 28日 31日 30日 31日 30日 31日 31日 30日 31日 30日 31日
閏年(366日) 31日 29日 31日 30日 31日 30日 31日 31日 30日 31日 30日 31日

Sextīlis(セクスティーリス)をAugustus(アウグストゥス)に変更。今のAugust(オーガスト)ですね。しかも、8月は30日しかないことを嫌い「俺の月も大の月(31日)にしろ!」ということで、8月以降の並びを逆にしてしまったそうなのです。そうすると、8月以降31日の月が3つあることになってしまうので、その調整で2月はまた1日取られてしまい、28日(閏年は29日)ということになりました。

その後も皇帝が即位するたびに「俺の誕生月、俺の名前にするから!」と一時的に改名していたようなのですが、死後元に戻されるという繰り返しだったようです(笑)皇帝が変わるたびに月の名前変えられたらたまらんです(笑)

そんなわけで、現在の月ごとの日数の構成と同じ暦が確立したのは、このアウグストゥスが改暦したユリウス暦から、ということになります。アウグストゥスのわがままが2000年以上続いていることになりますね(笑) まあ、何か他に理由があったのかもしれませんが、たぶん、自分の権威を知らしめるためのわがままだったんだろうなあ、としか思えませんが。

グレゴリオ暦

ユリウス暦は西暦395年のローマ帝国東西分裂や1453年の東ローマ帝国の滅亡よりも長く、16世紀後半までキリスト教文化圏諸国で使われ続けます。そして1582年にローマ教皇グレゴリオ13世の命によって改暦が行われます。日数の上では現在の暦とほとんど変わらないユリウス暦でしたが、実際には1年間で11分ほどのズレが生じていました。1年で見れば微々たる誤差かもしれませんが、約1600年以上運用が続くと大きな誤差になっていました。ユリウス暦と実際の太陽の位置と比べて10日程度ズレてしまっていたそうです。

キリスト教での重要な祭日、復活祭(イースター)は「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に実施されるのですが、ユリウス暦では春分の日は3月21日で固定されており、どんどんズレていくのは非常にまずいということで、改暦の必要が生じました。

グレゴリオ暦 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平年(365日) 31日 28日 31日 30日 31日 30日 31日 31日 30日 31日 30日 31日
閏年(366日) 31日 29日 31日 30日 31日 30日 31日 31日 30日 31日 30日 31日

グレゴリオ暦は暦の上ではアウグストゥスが改暦したユリウス暦と構成に違いはありません。ユリウス暦のように 4年に一度閏日を設けるだけではズレてしまうので、400年間に97回閏年を作る、というようにしました。400年間で3日分の閏日の調整をすることで、ズレないように改善したのでした。

プログラマなんてやってるとたまに閏年判定なんて作ることありますが、以下の条件になります。

  • 4で割り切れる年は閏年
  • ただし、100で割り切れる年は閏年じゃない
  • でも、400で割り切れる年は閏年

ちなみに最近のケースだと2000年は閏年でしたが、2100、2200、2300年は閏年じゃないです。2400年は閏年です。

まあ、そんな判定をちゃんと組み込んで、どうせ何年も使いもしないようなシステムに組み込むのです。自己満足の世界ですね(笑)

ちなみにPHP用の閏年判定関数です。バッチリ400年使えます(笑)

function isUruu($year) {
	return ($year % 4 === 0 && ($year % 100 !== 0 || $year % 400 === 0));
} 

まとめ

そんなわけで、かなり脱線してしまいましたが、なんで2月だけ平年が28日なのかという理由としては大雑把ですがこんな感じになるのかなと。

  • 古代エジプトではすべての月が30日だった(追加日除く)
  • 2月は古代ローマの年度末だったので調整月。カエサルが暦を作ったタイミングで29日に減った
  • アウグストゥスがジャイアニズムを発揮したせいで、さらに1日持っていかれて28日になった

ということかと。

子供に説明するのはまたやっかいな感じですが、「昔の王様がわがままで自分の誕生月を長くしたかったばかりに2月から持って行っちゃったんだよ」みたいな感じでしょうか?

長くなってしまいましたが、月の名前の起源みたいなものもついでに調べられたし、楽しかったです。古代エジプト人のすごさと、ローマ皇帝たちのわがままっぷりが印象に残りました(笑)

また何か疑問に思うことがあったら調べてエントリしてみようかな。